《挨拶》
国難ともいえる新型コロナウイルスの感染拡大は私たちの生活に多くの課題と変化をもたらしました。中でも高齢者から子供たちまで多くの方々が経験した閉塞感や孤独感は普段の生活で見失っていた「人と人とのつながり」や「社会との絆」の大切さをより一層気づかせてくれたと感じています。また、新型コロナウイルスは変異ウイルスへの置き換えが進むなど、緊急事態宣言も度々延長され、まだまだ先が見えず、予断を許さない厳しい状況が続いておりますが、これまでの区民の皆様のコロナへのご対応と感染防止の為の意識の高さには尊敬の念を禁じえません。
今後もこれまで通りのコロナ感染防止対策をお願いすると同時に、議会でも更なる感染防止対策と社会経済活動の両立を訴え、より安全・安心な「文の京」を目指してまいりたいと思います。
また、地域活動においては、さらなる地域の支え合いにより、心の距離が近づいていくことで、「思いやりと心豊かな社会」が構築されるよう取り組んでまいりたいと思います。
それでは令和3年9月定例議会にあたり、自由民主党・無所属文京区議団を代表し、市村やすとしが質問をいたします。
今回質問する内容は、
- 1. 町会・自治会支援の拡充策について
- 2. 高齢者及び高齢者クラブ支援について
- 3. 全ての人にやさしいまちづくり支援について
- 4. コロナ禍における災害対策について
- 5. ひきこもりについて
《町会・自治会支援の拡充策について》
初めに、「町会・自治会支援の拡充策について」伺います。初当選から終始一貫、町会・自治会と行政との協働協治の関係について質問をしてまいりました。
文京区では平成10年には約165,000人にまで落ち込んだ人口は先月8月現在226,700人までの規模となり、本区に対する更なる発展が期待されております。
一方、再三にわたり述べてきたことですが、町会・自治会の現状はライフスタイルや価値観の変化により、近隣や地域とのつながりが希薄となり、区内の町会・自治会においても活動に参加する人の減少、役員の担い手不足、活動の固定化等の様々な課題に直面しております。
「協働協治の関係は永遠の課題だね」とある先輩議員が言っていましたが、この様な地域課題に対応していくためには、改めて町会・自治会の意義や役割を評価し、区との協働のあり方を検討することが求められると思います。
それには町会・自治会の現状と課題を把握・分析し、地域社会における町会・自治会の位置付けや役割、区との協働のあり方、町会・自治会の活性化や支援策等について検討し、施策の方向性を示すべきと考えますが、区の具体的なお考えをお聞かせください。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、予定されていた会議や行事がほとんど中止になるなど、地域活動への影響も大きく、町会員並びに役員の皆様には大変なご苦労をお掛けしております。このような状況下でも、多くの町会・自治会では地域のつながりや支え合う地域づくりの中心的な役割を担ってまいりました。
そして、町会の役員を中心に地域の利便性、快適性、安全性を高める為に、問題点を取り上げ、定期的に議論を重ね、多くの住民が満足できる取組をすることで地域の結束力を高める努力をしてまいりました。
しかしながら、町会・自治会の活動や意義が地域に住んでいる方々に十分に理解されない問題があることも事実です。
果たしている役割の重要性を鑑みますと、町会・自治会の役員たちが、やりがいをもって力を発揮できる様なしくみづくりや環境を整えることが大切と考えますが、区のお考えをお聞かせ下さい。
また、日頃より、地域活動センターの所長には町会・自治会をまめに回っていただき、活動をサポートし、区との連絡調整窓口も担っていただいております。町会長になってまだ二年半ですが、会長になる前まではここまで町会・自治会と密接な関係にあったという事を知りませんでした。 改めて地域活動センターの職員皆様に感謝を申し上げたいと思います。 今後、各地域活動センターの果たす役割はますます重要かつ大きなものになろうかと思います。コロナ禍が終息すれば、各町会・自治会間の情報共有の場としてまた、区との協働の面でも果たす役割は大きくなろうかと思いますが、改めて今後の各地域活動センターの果たす役割について区の認識をお聞かせ下さい。
この質問の最後に一言述べさせていただきます。
私は長年の町会・地域活動を通じて、「人と人とのつながり」の大切さを学んでまいりましたが、この「つながり」とはまさしく「お互いに役割を担い合うこと」だと思っております。
区との関係も同じで、地域コミュニティの中心的な役割を担っている町会・自治会と行政とはこれからも同等の立場で役割を分担し合い、思いやりの精神でより良い関係を保っていきたいと思っております。本区のお考えをお聞かせください。
《高齢者及び高齢者クラブ支援について》
本年も昨年に引き続き高齢者クラブ連合会の代表より、高齢者クラブが抱えている継続的な問題点と要望、加えて新たな要望についてもお聞きする機会を得ました。高齢者クラブの目指すものは趣味やレクリエーション等で高齢期の充実を図る「生きがいづくり」、運動や健康学習等を通して健康寿命を延ばす「健康づくり」、例会、声掛け、友愛、親睦等を通して同世代の連帯と支え合いを作る「仲間づくり」、環境美化、ボランティア、町会活動の参加、世代間交流等の社会貢献を通しての「地域づくり」であると認識しております。
しかしながら、度重なる緊急事態宣言の中、これらの活動は中止や延期となり、高齢者並びに高齢者クラブを取り巻く環境は大変厳しい状況であるとのご意見をいただきました。
結果、誠に残念ですが、高齢者クラブの減少は昨年に引き続き、1クラブが解散し、2クラブが休止しており、全体として292人の会員が減少することになりました。
高齢者の方たちの健康で元気な暮らしを実現するためには地域活動や趣味・スポーツ・仕事など、高齢者の居場所づくりの推進や活躍の場の拡充が必要です。
この様な観点からいくつか質問を致します。 クラブの減少に歯止めがかからない中、前回の一般質問でも指摘させていただきましたが、154の町会・自治会がある中で、高齢者クラブ数が54クラブとあまりにも少ないと感じます。
町会・自治会と連携し、未設置地域に高齢者クラブを新たに設置できないか、また、解散した高齢者クラブの再生も考えた支援策を考えるべきと考えますが、区のお考えをお聞かせ下さい。
次に高齢者の意向が多様化する中、今後は新しいタイプの高齢者クラブも考えるべきではないかとの思いで提案します。 例えば、地域で縛られていない、趣味でつながった高齢者の方たちが一定人数を超えた場合、趣味のクラブとして文高連に加入できればお互いにメリットがあるのではないかと考えました。
加入後は横のつながりが生まれ、多様な趣味に興味のある方が複数のクラブに加入することも想定されます。併せて区のお考えをお聞かせ下さい。
次に、加入促進強化事業助成金について伺います。
平成27年度から令和3年度まで続いているこの助成金を利用し、年150名ほどの新規会員を確保し、既存クラブで会員数の現状維持を保ったとの報告と、高齢者クラブ存続には重要な事業であり、助成金額に関しても現状維持を望んでおります。
令和2年度はコロナ禍の影響で様々な事業も実施することが出来ず、助成金を執行できなかったとの報告も受けましたが、これはあくまでもコロナ禍が原因であります。
文高連にとっても、地域の高齢者クラブの存続にとっても、また、町会・自治会の功労者であり、長年地域で活躍された先輩方の居場所、活躍の場所をなくすわけにはいかない重要な助成事業と認識しております。
アフターコロナを見据え、補助金の継続をお考えいただきたいと思っておりますがお考えをお示しください。
高齢者及び高齢者クラブ支援での最後の質問になりますが、コロナ禍の影響により、外出自粛や人との接触を控えるなどの不便な生活を強いられる中で、高齢者にとって比較的不得意と言われているスマートフォン等を用いた情報通信技術の活用が必要になりつつあります。
そこで、スマートフォンやパソコン等の活用に慣れる為に、教室や講座などの実施支援ができないか伺います。高齢者クラブにとって大きな課題でもある60歳以上70歳前後の若手獲得にもつながるものと考えます。 区のお考えをお聞かせ下さい。
《全ての人にやさしいまちづくり支援
について》
次に「全ての人にやさしいまちづくり支援について」伺います。について》
国土交通省も最近「ウォーカブル・シティ」ということを言うようになってきました。
耳慣れない言葉ですが、世界の多くの都市で街路空間を車中心から人間中心の空間へと再構築し、沿道と路上を一体的に使って、人々が集い、憩い、多様な活動を繰り広げられる場へとしていく取り組みで、つまり「居心地がよく歩きたくなる街路づくり」、「歩いて楽しめる街づくり」が進められております。
国も進めているこの様な取組により、高齢者や障害者に限らず、人々がゆっくり過せる場所を区内中につくることは人にやさしいまちづくりを進める上で重要な意味を持つのではないでしょうか。
初めての一般質問では「高齢者が外に出やすい環境づくりを」と縁台もしくはそれに準ずるものの設置を要望、令和2年11月前回の一般質問でも「高齢者や障害者がいつでも気軽に外に出かけられるような環境づくりを」とベンチなどの設置を要望しました。
このご答弁では「バリアフリー基本構想では歩行者の通行の支障にならない範囲でベンチ等の休憩場所の確保に努めることとしており、二カ所に「おやすみ石」を設置するなどの対応をしてきました。今後も道路内の休憩設備の整備を推進する」とのお答えでした。
ご答弁のように道路内の休憩設備の整備を推進し、座る場所が町中にできれば、気軽に外出できるユニバーサルデザインのまちづくりが進められます。
つまり、街なかにベンチ等が設置され快適に外出できる環境が整えば、高齢者や歩行や移動に障害のある人、妊婦や子供を抱えた人など長時間連続して歩くことが困難な多くの人が安心してまちを移動することができるようになる訳です。
ですが、現状を見ますと公園には必ずと言っていいほどベンチがありますが、文京区、いや東京全体を見廻しても歩道にベンチが設置されているのをほとんど見ることができません。
諸外国の良いなと思わせる多くの都市ではベンチの効用をしっかりとらえ、まちづくりの戦略として取り組んでおります。
例えば、歩道にある花壇や植栽の一部を利用してベンチを作ってみてはいかがでしょうか。
そこに人が留まり、出会いが生まれ、コミュニケーションが発生し、そこからの行動が多様化することが期待されます。
このようにベンチの効用を的確に捉えて、今後のまちづくりに生かして欲しいと願っております。 道路はつながっていますので、国と都と区と連携を図り、何カ所作ったから終わりではなく、点と点を結んですべての人が安心して移動できる環境づくり、つまり「どこに行っても文京区中に休むところがあるね」と言われるぐらいの人にやさしいまちづくり計画を推進していただきたいと思います。
前回の答弁では今後も道路内の休憩設備の整備を推進しますとお答えいただいています。
ぜひ、今後は区内全域を視野に入れた整備計画を立てていただき、これからも住んでみたい、住み続けたい、人にやさしい文の京のまちづくりを各部署と連携を図り、計画・推進していただきたいと思います。積極的なご答弁を期待してこの項目の質問を終わります。
《コロナ禍における災害対策について》
次に「コロナ禍における災害対策について」伺います。発生から10年が経過し、まだ記憶に新しい東日本大震災での教訓を踏まえ、平成25年8月内閣府より「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針」が策定されました。その指針を受け、平成28年4月に取りまとめられた「避難所運営ガイドライン」では感染防止の観点からトイレの確保・管理や衛生的な環境の維持、被災者の二次被害を予防するための健康管理などの対応が記載されることになりました。
本区においても新型コロナウイルスの感染症の流行を鑑み、令和2年7月には避難所を開設・運営する場合の感染拡大防止に向けた対策をまとめた文京区避難所運営ガイドライン「新型コロナウイルス感染症対策編」を作成し、感染拡大を予防するために必要とされる事前対策、避難所の開設や運営時などのきめ細かな対応と新型コロナウイルス感染症に留意した多様な避難の仕方も示されました。大いに評価をしたいと思います。
しかしながら、変異株新型コロナ感染症の出現により当初の計画よりさらに厳しい避難所の環境整備が求められ、感染症を考慮した場合の避難生活に必要な面積は増大すると考えます。
最初の質問ですが、
現況の避難所でどのようにしてソーシャルディスタンスを確保するお考えか具体案があればお示しください。
また、段ボールベットやパーテーション設置は感染症を防ぐ効果と共に良好な避難所環境を維持する上でも期待されるところですが、現在の充足状況と限られた面積の避難所備蓄倉庫を考慮した今後の災害協定も含めた補充計画をお示しください。
併せて感染リスクを考えると、分散避難、特に自宅避難や個別避難が多くなる事が予想されます。区民自身が選択するこのような避難に対し、自助の大きな役割でもある事前の備えや留意事項などを改めて広報周知すべきと考えます。
積極的な広報周知を期待しますが、具体的な内容と今後の予定をお示しください。
次に各委員会で何度も取り上げてまいりましたトイレ問題について伺います。
どの災害においても避難生活はつらく苦しいものであるが故に、「人としての尊厳が保たれる避難所」を目指して質の向上を図り、二次健康被害を生じさせない避難所であることを目指すことが求められます。
本区はトイレに関しては携帯トイレ、簡易トイレ、仮設トイレ、マンホールトイレ等を組み合わせての対応をお考えと思いますが、「トイレの備え」は衛生対策の要であることから、人数当たりの数を調達することは当然ですが、数のみに目標を置くのではなく、あくまでも質の高い快適なトイレを確保することを目指すべきと考えます。本区のお考えをお聞かせください。
前述のように、震災や風水害に感染症の流行が重なることで、これからの避難は分散することが求められます。人が分散して避難するということは、トイレの備えも分散することが必要で、今まで以上に災害用トイレの使い分けと組み合わせで切れ目なく確保することが重要になります。
また、在宅や車中で避難をされた方や帰宅困難者等がトイレのみを使用するために避難所を訪れることも考えられます。加えて、多くの外部支援者も集まるため、これらすべての人が避難所の建物内のトイレを使用することは感染症対策だけではなく、利用集中という観点からも好ましくないと考えます。
以上の理由から、避難所の建物内だけではなく、建物外においても災害用トイレの整備を推進し、使い分けることが必須と考えます。
整備方法の一つとしてマンホールトイレを避難所や公園を含めて各地域に増設し、154ある町会・自治会などに管理・設置を委託するなどを考えては如何でしょうか。区の積極的な施策をお聞かせ下さい。
《ひきこもりについて》
最後に「引きこもりについて」質問します。社会問題として改めて注目されている「ひきこもり」ですが、80代の親が50代の子供の生活を支えるいわゆる「8050問題」の存在が広く認知されるなど社会的な関心が急速に高まっております。
ひきこもりという言葉が社会に出始めるようになった1980年代~90年代は若者の問題とされていましたが、約30数年が経ち、当時の若者が40代から50代、その親が70代から80代となり、長期高齢化の傾向は全国に広がっております。
平成27年の内閣府の調査によれば15歳から39歳までのひきこもり状態にある者が54.1万人で、平成30年の調査では40歳から64歳までのいわゆる中高年層のひきこもり状態にある者が61.3万人と推計値が公表されました。
わが国では従来、主に若年層の問題として考えられ、その支援も就学や就労をゴールとしたものが中心でありましたが、最近の各自治体調査では40代以上の人たちが半数を超えるという結果も出ており、これまでの問題の捉え方や支援のあり方が問い直されつつあります。
自民党では令和元年に有志により、引きこもりに関する勉強会を立ち上げ、今般、この勉強会を更に前進する形で自民党政務調査会に「いわゆる「ひきこもり」の社会参画を考えるPT」を立ち上げました。
ひきこもり支援に取り組む自治体等を応援する立場から
1.現状のひきこもり支援施策の再点検 2.過去と未来も俯瞰した息の長い支援の充実 3.コロナ禍におけるひきこもり支援 4.良質な支援者の育成と支援手法の開発 5.国民の意識醸成等について
5つの提言を取りまとめました。
政府においても本提言を踏まえ、自治体等がひきこもり支援に取り組みやすい環境整備を加速化すると力強く支援しております。
一方、本区においては8050問題等に対応するための支援体制を区が主体となり「文京区ひきこもり支援センター」を開設し、区内外の関係機関と連携し、きめ細かな相談支援サポートを行っております。また、ひきこもり状態にある方の自立を支援する「STEP」事業を実施し、令和2年4月より事業の対象者を従来の義務教育終了後~39歳までから、義務教育終了後の全年齢に拡大するなど切れ目のない支援を行っています。
また区は、本年からひきこもり在宅支援サービスの訪問診療を始めた小石川東京病院のリーフレットを区のホームページに掲載しており、様々な引きこもりに係る相談について、幅広い情報提供も行っております。
この様に本区では既に先進的かつ積極的に多様な事情やそれぞれの心情に寄り添ったきめ細かな支援をしていただいており、改めて感謝を申し上げたいと思います。
質問に入りますが、自民党が示した提言の中から何点かについて、本区の取組状況と今後の計画をお示しください。
始めの質問ですが、コロナ禍においては区民一人ひとりが自身や社会を見つめ直す貴重な機会となった一方で、不安や生きづらさ、孤独感や孤立感をより深めた方も相当数いるものと推察します。
新型コロナウイルスの影響を受け、ひきこもり状態となる方を予防していくための支援施策の検討が必要と考えますが、区の見解と具体的な施策があればお示しください。
次に、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することにより、ひきこもり状態にある当事者の家族支援がさらに重要になってきますが、家族支援についてどのようにして取り組んでいくのかお考えをお聞かせください。
次に、提言の一つである良質な支援者の育成と支援手法の開発について、本区の見解と取組状況をお聞かせください。
最後に、ひきこもりに対する偏見を取り除き、互いの多様性を認め合い、一人ひとりが自身の幸福感や安心感を持って人生を過ごせる土壌を構築することが大切と考えますが、本区におけるこのような意識醸成の取組をお示しください。
以上で質問を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。